
SIer社員がサイボウズについてまとめてみた
投稿日: 2025-05-19 | カテゴリ: 雑談唐突ですが、今日は少し趣向を変えてグループウェアで有名なサイボウズについてまとめてみようと思います。
調べようと思ったきっかけは2点あります。
1点目は、自社プロダクトを展開する会社の組織やビジネス構造が気になったこと。 2点目は、大学生時代は個別株投資で遊んでいたんですが、リーマンになってからそれをすっかり辞めていました。 (正確には、勤める会社の関係上、投資に強い制限がかかったため) 四季報を読むことをここ1年ほどしなくなっていたため、勉強がてら読みたいと思ったためです。
サイボウズ基本情報(2024年12月期)
まずは数字からサクッと見ていきます。
財務情報
- 売上高:297億円
- 営業利益:49億円
- 経常利益:53億円
- 純利益:35億円
- 粗利率:90%
- 営業利益率:16%
- 純利益率:12%
- ROE(自己資本利益率):30%
- 時価総額:1,741億円
営業利益率はまだ低めですが、高い粗利率からも分かる通り、積極的な投資フェーズにあると見受けられます。
会社情報
- 大株主:畑 慎也(創業者の一人であるが、現CEOではない)
- 事業内容:グループウェアの開発・販売・運用
- 従業員数:1,321人(2019年時点では約600人)
- 平均年収:688万円
- 平均年齢:36歳
売上は2015年以降一貫して成長。営業利益も一時的に落ち込んだ2021〜2022年を除けば、再び過去最高を更新し続けています。
創業エピソード
※敬称略
サイボウズは1997年、愛媛県で 青野慶久、高須賀宣、畑慎也 の3人によって創業された。
- 起業のきっかけは、ジャストシステム勤務だった畑が声をかけたこと
- 経営は高須賀、営業は青野、技術は畑という役割分担でスタート
- 2005年までは高須賀がCEO、その後は青野がCEOを務める
このあたりの創業話的な情報は、株式投資界隈ではあまり話題に上がらないですが、私はこの辺りの情報を調べるのも好きです。 畑さんが大株主であったことから、畑さんが社長なのかと思いましたが、青野さんが現在の社長のようですね。 畑さんは、サイボウズは取締役であると同時に、サイボウズ・ラボといういかにも技術畑の会社の社長をされているようです。
掘り下げてみると面白い方だろうと思うのですが、一旦ストップして次に進みます。
主要製品
主要製品としては以下の4つのようです。
kintone(契約中:約37,000社)
ノーコード開発ツールの代表格。Salesforceのような印象を受けましたが、より柔軟性を抑えている分、初心者でも扱いやすそうです。
サイボウズOffice(導入延べ:約81,000社)
創業当初から提供されているプロダクト。
スケジュール共有、申請フロー、ナレッジ共有など、中小企業向けに最適化された機能が備わっています。
Garoon(導入延べ:約8,000社)
私も実際に使ったことがありますが、大企業向けのグループウェアです。会議設定などのスケジューリング機能に特化しており、シンプルで使いやすい印象です。
メールワイズ(導入延べ:約15,000社)
メール対応業務に特化したツール。大量のメールを複数人で処理・共有するのに向いており、テンプレートや担当者割り振りの機能が特徴です。
私の職場ではあまり使わないタイプですが、カスタマーサポートや営業部門などでは重宝されると思います。
それぞれのサービスの売上について
売上が大きい順に書くと以下の通りです
- kintone:162億円
- サイボウズOffice:58億円
- Garoon:55億円
- メールワイズ:9億円
kintoneが全体の約半分を占めており、広告投資などの効果も感じられます。 吊り革広告でよく見かけます。
ただし、1ユーザーあたりの平均売上(ARPA)は、Garoonが約12万円に対して、kintoneは約3.5万円と低め。
これは、Garoonが全社導入されるのに対して、kintoneは部門単位などでスモールスタートすることが多いためと決算資料の中でも推測されていました。
またGaroonが大企業向けサービスであることに対して、kintoneは中小企業が現在ではメインターゲットであることも要因の一つと思われます。
最近の動向について
決算を読んでいて気になった点をまとめました。
-
価格改定(2024年11月〜)
Garoonのユーザー単価を50〜100円程度引き上げるなど、サービスの成熟に伴い価格改定を実施。SaaSビジネスにおける健全なステップですね。 ユーザ的には残念ですが。 -
kintoneの「全社導入化」
Garoonのように、kintoneも部署単位から全社導入へスケールさせる戦略に転換中。
SIerで働く身として感じたこと
SIerの作成する業務アプリというのは、良くも悪くも競業会社が少ないです。 それに対して、サイボウズが戦っている市場のBtoBのサービスは世界相手に戦う必要のある超レッドオーシャンです。 例えばサイボウズOfficeであれば、microsoftのTeam、kintoneであればsalceforceやsericenowがそれに当たると思います。 逆に言えば、そういった市場で戦うことで、サラリーマンとしての個の力も上がっていくのかなと思いました。
まとめ
私が働いている会社は売上1000億くらいの会社ですが、所属部署で言うと100億弱だったはずです。 ビジネス構造が全く違うので比較しても意味がありませんが、実際に働きながら企業分析することで規模が肌感で多少感じられて面白いなと思いました。 大学時代には、全く感じれなかった感覚です。
また、こうして調べてみると、企業研究ってやっぱり楽しいなと再確認できました。 (株はできないのが残念です) また気になる企業があれば記事にしてみたいと思います。
参考資料
- 2024年度(第26期)通期決算説明資料 - サイボウズ株式会社
- 2024年12月期 第1四半期決算短信 - サイボウズ株式会社
- サイボウズ株式会社 公式サイト