大学生のころ、僕は「アーキテクチャ」という言葉を聞くと、 まるでシステムの神々みたいなスペシャリストが、長年の経験と知識をフル動員して組み立てるものだと信じていました。
いわば、プロジェクトを一撃で成功に導く伝説の設計図。

きっと経営者の多くもそんなイメージを持っているんじゃないでしょうか。
「経験豊富なエンジニアが最初から正解を描いてくれて、それに従えば万事解決!」みたいな夢のシナリオです。

でも、現実はそんなに甘くないんだと思います。


現場のリアル:都度ググりながら作ってます

実際にSIerで働いてみると、多くの会社員は超人的なアーキテクトではありません。
むしろ「これどう作ればいいんだ?」と迷いながら、その場その場でググって・みんなで話し合って・時にはベンダーに問い合わせて実装していくのが普通です。

もちろん、それが悪いわけじゃない。
会社としては「正社員を育てて、いずれはプロに育つだろう」と信じているからこそ、そのやり方が許されている。
裏を返せば、会社というのは教育機関でもあるわけです。

ただ、フリーランスだったらどうでしょう?
「いやいや、そんな悠長にググってる場合じゃないでしょ?」って場面が多いはず。
ここが雇用形態の違いによるプレッシャー差なんでしょうね。


個人開発だと「作り直せばいいや」で済むけど

僕自身、このブログや個人アプリを作るときに一番悩むのはアーキテクチャです。
「保守しやすいのはどの構成だろう…」と悩みながら、経験値の少なさもあって、その場で一番マシそうな選択をしているのが実情。

当然、あとになって「やっぱこれ使いにくいな…」と気づいて、大幅に作り直したこともあります。
個人開発ならまあなんとかなるんですが、会社のPJだったらそうはいかない。

リリース済みのシステムで「やっぱ構成変えます!」なんて言い出した日には、 影響範囲の確認と調整だけで地獄が待っています。


SIer におけるアーキテクトという存在の希少性

だからこそ「アーキテクト的な人」が大事なんだと思います。
全体図を俯瞰して、「こっちの構成で進めよう」と舵を切れる人。

ただ、大企業でもそんな人材は多くありません。
失敗した時の責任を取るのが怖いというのもあると思います。
できる人でも、日々の管理や雑務に追われて本来の役割に手が回っていないケースもある。

しかも会社員って、いつ誰が抜けるか分からない。
「システム全体を把握している人が常にいる」なんて保証はどこにもないのです。


AIがアーキテクチャを担う未来?

最近はAIがコードを書いたり、テストを自動化したりするようになってきました。
もしかしたら、近い未来ではAIがシステム全体のアーキテクチャも設計・管理してくれるようになるかもしれません。

でもそうなったら、人間のエンジニアはどこで価値を出すのか?
「設計図を書くこと」すらAIに取られてしまったとき、自分たちは何を武器にするべきなのか?

考えれば考えるほど、漠然とした不安がよぎります。


まとめ:不安と希望のあいだで

アーキテクチャは決して神々の専売特許じゃない。
現場ではみんな迷いながら手探りで選択していて、正社員とフリーランスでは求められるスタンスも違う。

だからこそ、僕らは「完璧さ」よりも「柔軟に直せる設計」と「学び続ける姿勢」が大事なんじゃないかと思います。
AIが主役になる未来が来ても、人間にしかできない価値の出し方を模索していきたいですね。