SIerにも「花形部署」と呼ばれる仕事があります。
どの部署に配属されるかで、その後の出世スピードやキャリアの広がりはかなり変わります。

とはいえ、就活や配属面談の段階では、外からだとどこが花形なのか分かりにくいですよね。
「自社プロダクト? 新規事業? データ分析? どれが本当に得なの?」と悩む人も多いはず。

この記事では、SIerで働く現役SEの目線から、

  • SIerで“花形部署”とされる仕事の共通点
  • 出世しやすい部署/市場価値が上がる部署
  • 逆に人気がなく、配属されると苦労しがちな部署の特徴

をまとめました。
これからSIerに入社する就活生や、配属ガチャを控えている若手社員の方の参考になれば幸いです。

SIerで花形部署とされる仕事の共通点

花形部署と呼ばれるところには共通点があります。 結論から述べると、それはだいたいこの3つです。

  1. 会社の中で稼ぎ頭(=社内での出世コース)
  2. 市場価値が高いスキルを扱う(=転職に強い)
  3. 新規事業(枠が少ないかつキラキラしたイメージで若手に人気)

上記どれかに当てはまれば、花形部署(人気部署)になる認識を持っておけばOKです。 この法則性は、もしかしたらSIerに限った話ではないのかもしれませんが。

では、もう少し具体的に花形部署を掘り下げて説明します。

1. 自社プロダクト開発部門(出世しやすい花形部署)

SIerといえば受託開発のイメージが強いですが、最近では「自社プロダクト」を持つケースも増えています。ここでいう「自社プロダクト」とは、SaaSのように自社で展開する製品だけでなく、 複数の大手顧客向けに独占提供している大規模業務システムなども含みます。

こうしたプロダクトは長期契約・安定収益を生み、会社の稼ぎ頭となります。 結果として、社内評価での存在感があり、出世コースに乗りやすい部署とされることが多いです。 ざっくり言えば、「売上・利益が大きい部署=花形部署」です。

⚠️ 新規部署での自社プロダクトは?

研修中に、「新規事業で自社プロダクトを立ち上げている部署がある」と聞いて、興味を持つ1年目社員も多いかと思います。 確かに、一見すると将来性があって魅力的ですが、体制が整っていないケースがあり、ブラック化するリスクがあります。

新規プロダクトが成功すれば花形、失敗すれば地獄。 その二極化が激しいのがこの領域です。

新卒だと配属面談は人事担当者とすると思いますが、人事はネガティブなことは言わないと思います。 そのため、自分で考えて判断することが大切です。

私からのアドバイスとしては、できれば人事以外の同じ会社の方に、新規部署について聞いてみるのが確実です。 また、調べてもよく分からないのであれば、応募しない方が無難だと思います。

2. モダン技術案件(転職市場で評価される花形)

AWS・Azure・GCPなどのクラウド基盤、 TypeScript・Next.js・Go・Kotlinといったモダン言語・フレームワークを使う案件は、SIerの中でも人気トップクラスです。

レガシーシステムの保守開発案件が多いSIerにおいて、こうした技術に触れられる機会は貴重ですからね。 また、これらの部署はモダンな技術の経験を積めるためか、転職市場でも評価されやすく、キャリア的にも有利に働くことが多いです。

使用する技術は本当に重要です。 配属面談とかの場所では、人事は「技術よりも、何をするかが重要」と間違いなくいうでしょうが、それはただのポジショントークです。 技術スタックは市場価値を左右しますし、折角選べるなら古い技術より新しい技術に触れた方がいいのは、 少し考えれば誰でも分かる話です。技術軽視のキャリアは、後で後悔しますので、注意してください。

余談ですが、SIerの要件を分けるときによく使われる、「汎用系」「オープン系」「Web系」といった用語の説明や、それぞれのキャリアの特徴について以下にまとめているので、興味があればみてみてください。

3. 新規事業立ち上げ(裁量が大きい人気部署)

どの業界でも、新規事業の立ち上げは「やりがい」や「チャレンジ精神」を求める人にとって魅力的な仕事だと思います。 作業がマニュアル化されている仕事と違って新規事業の立ち上げはイレギュラーが発生するため、 キャリアアップを求める成長意欲高めの新卒SEからも非常に人気な職種になります。

特に大手SIerのような規模で新規事業に関われる機会は非常に貴重です。 スケールの大きな挑戦になるため、社内でも評価されやすいでしょう。

ただし、注意点もあります。 それは「予算が確保されているかどうか」です。 新規事業を立ち上げるといっても、実際に動き出すには十分な予算と支援体制が必要です。表向きは立ち上げと言っても、予算が出なければプロジェクトが途中で頓挫するケースも珍しくありません。

配属前に内部事情を完全に調べることは難しいですが、事前に「どれくらいの規模感で進んでいるか」や「どんな体制なのか」などを見極めることが大切です。一見嘘みたいな話ですが、大企業であっても予算が十分ではない、というケースは普通に起こりえます。

学生の時は、社会人はすごいみたいなイメージを持っているかと思いますが、実態は本当にそんなことありません。 学生と同じようにしょうもないミスをするんです。社会人をすごいと思わないでくださいね。

4. データ分析部門(人気だが実情は?)

近年注目されている分野のひとつが「データ分析」です。 ビッグデータの活用や、AI・機械学習を使った予測モデルの構築など、技術的にも難易度が高く、専門性の高い仕事が多いため、アカデミック志向の強いエンジニアから人気があります。

ただ、正直なところ私は数学や統計が得意ではありませんし、今の時代にSIerへ入社する新卒の多くも、 同じようにアカデミック畑が本業ではないと感じています。

だからこそ、

「その分野に特化したいなら、そもそもなんでSIerに来たんだ?」
「みんなアカデミックから逃げて、こっちに来たんじゃないの?」

と勝手に思ってしまう部分があります。(完全に私の偏見です

一度アカデミックな道から距離を置いたはずなのに、SIerに入ってから 「やっぱり自分は他の新人よりアカデミック素養があるのでは?」 と感じてデータ分析に戻ろうとするのは、個人的にはちょっと危うい気がします。

とはいえ、一度でもデータ分析系の部署に所属していれば、その経験は「錯覚資産」として評価されやすくなります。 そうしたチャンスがあれば、トライしてみる価値は十分にあると思います。

実際に働いていて感じますが、「錯覚資産」は非常に重要です。
上司が多数の部下のキャリアや専門性を深く理解するのは難しいため、 「どの部署にいたか」「どんな資格を持っているか」などの分かりやすい指標が社内評価を左右することは少なくありません。

5. 売上・利益トップのメイン事業部(王道花形)

王道はこれです。そのSIerのメイン事業は何か、を調べたらすぐにわかると思いますので、その部署が花形だと思えば良いです。

こういった部署は社員数も多く、花形というには“特別感”は薄いですが、少なくとも左遷部署ではありません。 迷ったらここを選んでおけばOKです。

もし数字で確認できない場合は、 “誰が一番偉そうか”で推測しても良いです。 一番発言力のある本部長が所属している部署=稼ぎ頭。 そして稼ぎ頭=花形です。

逆に「力が弱そうだな」と感じる部署は、 だいたいその直感通りです。 稼ぎが弱い部署は労働環境も悪化しがち。

先ほども述べましたが、会社なんてそんなものです。部署間での序列、パワーバランスというものは確実に存在します。 人事は絶対そんなことは教えてくれませんが。

SIerで人気がない部署の特徴

※あくまで筆者の主観です。異論は大歓迎です。

1. 古い技術(レガシー技術)を扱う運用保守

COBOLやメインフレームなど、古いシステムの保守運用に関わる仕事です。 これらは重要なインフラである一方、最新技術に触れられる機会が少なく、キャリアアップの観点から敬遠されがちです。

スキルの市場価値という意味でも、レガシー技術に長く関わることはリスクと考える人も多いです。

でも、定型作業が多い分、働きかたはホワイトになる傾向があるので、一部の層には人気がありますね。私も新卒時は絶対に嫌だと思っていましたが、働き疲れた今、こういった部署に興味がわいています。

2. 昔合併先の会社

大きいSIerだと、昔別の会社を買収して、名前はその買収元の会社に吸収されて、部署ができたなんてことがあります。 そして、その買収元の部署は、人気がないです。ついでに言うと、労働環境も序列も低いです。

これも大企業だからそんなことはないと夢を見るのはやめましょう。社会なんてそんなもんです。(n回目 笑)

PM・PL・人事はSIerで本当に花形部署と言えるのか?

1. PM(プロジェクトマネージャー)・PL(プロジェクトリーダー)

一昔前のSIerでは、PM/PLこそが目指すべきキャリアパスでした。 今でも多くの会社では、PMやPLが「花形」とされています。

ただし、最近では価値観が多様化し、必ずしもマネジメント志向でない人も増えています。 若手の中には、技術を深めたいという理由で、PMではなく技術スペシャリストやWeb系エンジニア、 ITコンサルタントへのキャリアチェンジを希望する人も増えています。

また、大規模案件のPMになるには10年単位の経験が必要と言われることもあり、その長い道のりに魅力を感じにくい人もいます。

2. 人事

一部の人にとっては、非常に人気のあるポジションです。 会社の根幹に関わる仕事であり、出世ルートに含まれていることも多いです。

私自身も人事の仕事に興味はありますが、「人事」と「最新技術を扱う部署」のどちらかを選べと言われたら、迷わず後者を選ぶと思います。

おそらく20代のうちに転職を考えている人にとっては、人事は少し遠回りかも知れませんが、 会社に長く勤めて昇進を狙う人にとっては、人事は戦略的な選択肢かもしれません。

まとめ:SIerで自分にとっての花形部署をどう選ぶか

SIerの花形部署とは、突き詰めると 「会社の稼ぎ頭」か「市場価値が最大化される部署」のどちらかです。

  • 出世したいなら → 売上トップの部署
  • 転職市場で戦いたいなら → モダン技術部署
  • 裁量を求めるなら → 新規事業
  • 無難に行くなら → メイン事業部
何を選ぶかは、自分が「社内評価で生きるか」「市場価値で生きるか」この軸の違いに尽きます。
その軸さえ持っていれば、どんな部署でも“花形”にできるはずです。
配属ガチャに振り回されるのではなく、自分で「SIerの花形部署」を定義して取りに行きましょう。