SIerで2年目SEをやっております、いずくです。
就活が本格化する時期、こんな悩みを抱えていませんか?
「将来はフリーランスとして独立したい。でも今はスキルがないし、とりあえず正社員からキャリアを始めたい」
「SIerは技術が古いって聞くし、成長するならWeb系ベンチャー一択かな?」
今回は、そう考えている学生に向けて、「将来フリーランスを目指すなら、あえてSIerを選ぶという戦略的メリット」についてお話しします。 これはいわば、SIerという巨大組織をパトロン(出資者)にして、自分の事業を作るための「生存戦略」です。
1. まず、どんなフリーランスを目指しているのか?
学生のうちで、漠然とフリーランスを目指している人は多いはずです。 ただ、憧れているのは「カフェでMacBookを開いて優雅に仕事をする」ようなイメージだけかもしれません。
サラリーマンではなく、個人でお金を稼ぐ場合、大きく以下の4つに分類できます。
- スモールビジネス型(自分で事業を作る)
- 仲介サイト利用型(クラウドソーシング等)
- 直営業型(自分でクライアントを見つける)
- 士業型(医師、会計士など ※今回は割愛)
1.1 スモールビジネス型
自分で小さな事業やメディアを持って稼ぐ方法です。 具体例としては以下が挙げられます。
- YouTube、ブログ(アフィリエイト)、SNS運用での広告収入
- 個人開発アプリの収益
- noteなどのコンテンツ販売
0→1(ゼロイチ)を作るのが難しい代わりに、一度軌道に乗れば労働時間に比例せず収益が上がる「ストック型ビジネス」になり得ます。爆発力のある稼ぎ方です。
1.2 仲介サイト利用型
営業はプラットフォームに任せて、自分のスキル(労働力)を売る稼ぎ方です。
- Findy Freelanceなどを利用して、準委任契約で働く
- CrowdWorksで、動画編集・LP制作をする
- Upworkで、海外案件を受ける
参入障壁が低く、初月から収益を上げやすい領域です。 しかし、プラットフォームの手数料(マージン)が引かれる点や、単価競争に巻き込まれやすい点がデメリットです。
1.3 直営業型
仲介サイトを経由せず、自分で企業に営業をかけて仕事を取るスタイルです。 仕事内容は1.2と重なりますが、仲介手数料がない分、利益率は高くなります。 また、クライアントと信頼関係を築ければ継続案件に繋がりやすく、安定しやすいのが特徴です。
あなたが目指すフリーランス像はどれでしょうか? もし、「1. スモールビジネス」や「2. 仲介サイト利用」を考えているなら、 ファーストキャリアとしてのSIerは非常にお勧めできます。
(逆に、圧倒的な営業力でゴリゴリ稼ぐ「3. 直営業型」を目指すなら、実力主義のベンチャーや営業会社の方が向いているかもしれません)
2. SIerに入社するメリット・デメリット
なぜ、SIerが将来独立の足場に適しているのか? その前に、一般的なSIerの特徴を整理しておきましょう。
メリット
- 入社ハードルが適正: 完全未経験でも、ポテンシャル採用で大手に入れるチャンスがある。
- 給与水準が高い: 初任給やボーナスが安定しており、社会的信用も高い。
- 福利厚生: 家賃補助や研修制度が整っていることが多い。
デメリット
- 技術選定が保守的: Web系企業に比べ、枯れた技術(古い技術)を使うことが多い。
- 配属ガチャ: 希望しない部署やプロジェクトに配属されるリスクがある。
- 調整業務が多い: コーディングそのものより、資料作成や会議が増えがち。
「これじゃスキルがつかないから、フリーランスになれないじゃん!」と思いましたか? ここからが本題です。
3. なぜSIerが、将来のフリーランス準備に向いているのか
結論から言うと、「リスクの高い挑戦(副業)をするための、最強のセーフティネットになるから」です。 フリーランスを目指す際、多くの人が直面する壁があります。
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スモールビジネス(ブログ・アプリなど)の場合: 収益化するまで時間がかかる。半年後か、1年後か。もしかしたら、3年後も収益ゼロかもしれない。 そんな中、貯金が尽きる恐怖と戦いながらビジネスを続けるのは、精神的に非常に過酷です。
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クライアントワーク(受託)の場合: 「来月の案件があるかわからない」という不安から、低単価な案件でも無理して受注してしまう。 結果、疲弊してスキルアップの時間が取れなくなる。
ここで「本業=SIer」というポートフォリオが効いてきます。
「SIer × 副業」の強み
SIerは(企業によりますが)基本的にカレンダー通りの勤務です。
もちろん、「SIerは忙しい」というのは間違いありません。 案件によっては数ヶ月、あるいは数年にわたって、平日は23時や24時帰りが続く…なんてことも珍しくありません。 正直、平日に自分の時間を確保するのは難しい時期もあるでしょう。
しかしそれでも、週の2日は確実に自分の時間が確保されます。
この「聖域(土日)」と「安定給与」を組み合わせると、どうなるか?
- 生活費の心配がない: 残業代もしっかり出るため、高い給与水準(時給換算2,000円以上)が保証されます。生活費を稼ぐためのバイト的な副業をする必要がなく、焦らずじっくりと「将来の資産になるビジネス」を作れます。
- 仕事を選べる: クライアントワークをする際も、「嫌な案件は断る」という選択ができます。これは交渉において最強のカードです。
この 「給与という名のベーシックインカム」をもらいながら、虎視眈々と独立準備ができるのがSIerの隠れたメリットなのです。
4. SIerでは、AI時代でも生き残る「上流スキル」が学べる
昨今、生成AIの進化は目覚ましいものがあります。 GitHub CopilotやClaude等の登場により、「ただコードを書くだけの作業」の価値は暴落しつつあります。 Web制作や単純なコーディング案件は、AIに代替され始めています。
そんな中、SIerが得意とする領域はどこでしょうか?
- 顧客のフワッとした要望を具体化する(要件定義)
- ビジネスロジックをシステムに落とし込む(設計)
- プロジェクト全体を動かす(マネジメント・顧客折衝)
これらは、AIがコードを書けるようになっても、最終的な責任者として人間が必要とされる「本質的な価値創造」の部分です。
SIerは基本的に「クライアント(発注者)」と直接契約するプライムベンダーの立場にあることが多いため、下請け構造の末端にいるよりも、こうした上流工程の経験を積みやすい環境にあります。
将来独立した時、「コードも書けるが、顧客のビジネス課題を解決する提案もできるエンジニア」になれれば、単価は跳ね上がります。その土台を作る場所として、SIerは悪くありません。
会社に頼らず、自分で「武器」を磨け
ただし、何度も言いますが、SIerの業務だけでは「自分でサービスを開発しきる力」はつきにくいのが現実です。 漫然と過ごしていると、いざ独立する時に「これといったハードスキルがない」状態になってしまいます。
だからこそ、「会社はパトロンという割り切りが重要です。 会社からもらった給与で生活の不安を消し、その余力で技術やビジネススキルを外で学ぶ。 この「したたかさ」と「行動力」こそが、SIer出身フリーランスの生存戦略です。
現に私も、実装力は全て個人開発で養っています。
結論:SIerを「利用」して、賢くキャリアを作れ
「SIerに入ったら、一生社畜として終わる」なんてことはありません。
むしろ、「SIerという巨大な組織の資金力と安定性を利用して、自分の個人ビジネスを育てるパトロンになってもらう」くらいのしたたかさを持ってください。
まずはSIerに入社して、安定した給与を得ながら、虎視眈々とスキルを磨き、副業で0→1を作る。 そして、副業の収益が本業を超えたタイミングで、満を持して独立する。
これが、リスクを最小限に抑えつつ、確実に年収を上げていくための「生存戦略」です。
もし、SIerへの就活対策や、具体的にどんな準備をすればいいか迷ったら、私のX(旧Twitter)でも発信しているので、ぜひ覗いてみてください。



