初めまして、いずくです。 私は学部時代、情報系(理系)に所属していましたが、大学院には進まず「学卒」でSIerに入社しました。 今、社会人になってちょうど2年が経とうとしています。

ふとスマホで大学時代のグループLINEを開くと、 院に進んだ同級生たちが「卒業旅行」や「修了式前の飲み会」で盛り上がっている様子が流れてきました。

「もし自分が院卒を選んでいたら、今ごろまだ彼らと一緒に学生生活を楽しんでいたんだな」. そんなIFの人生を想像して、少しだけ羨ましくなったり、 当時「院に行くか、就職するか」で死ぬほど悩んだことを思い出したりしました。

そこで本記事では、過去の私と同じように 「周りに流されて院進すべきか、就活すべきか」で悩んでいる理系学生に向けて、社会人2年目を終える今の視点から「どっちの判断が良かったのか」の答え合わせをしたいと思います。

前提:当時の私のスペックと状況

まず、比較対象として参考になるよう、当時の私の状況を整理しておきます。

  • 経歴: 24卒でSIerに入社(現在社会人2年目)
  • 環境: 情報系の学部所属。同級生の約8割は大学院へ進学する環境。
  • 研究への姿勢: 研究内容自体への興味も薄く、また教授とのやり取りが辛く逃げ出したかった。
  • 就活状況:
    • 大学3年の春から一応就活を開始。
    • 夏には短期インターン(1day〜1week)に複数参加。
    • しかしインターン後、「働くのしんどそう…」とビビって就活熱が冷める。
    • 「やっぱり院進して先延ばしにするか?」と迷走し、年明け(大学3年1月)頃にようやく「いや、就職しよう」と腹を括って本始動。

典型的な「研究は嫌いだけど、働くのも怖い」という、迷える理系大学生でした。

結論:私は「学卒」で良かったと思っている

結論から言うと、私は学卒で就職して良かったと思っています。

もちろん一概に「全員就職しろ」と勧めるわけではありません。 ただ、当時の私のような 「特に何かやりたいことがあるわけではないタイプ」に関しては、 脳死で院進すると、そのままずるずるとダラけて2年を棒に振ってしまっていた気がするからです。

具体的に、何が良かったのか(メリット)と、逆にどんな人なら院進すべきかを整理します。

学卒で就職して良かったこと

1. 二年早く「社会のリアル」に殴られたこと

これが最大のメリットです。

生まれてから長らく学生をやってきた身として、サラリーマンという生き方は強烈なパラダイムシフトでした。

  • 平日は起きてから20時くらいまで、人生を会社に捧げる
  • 休日は泥のように疲れて寝ている
  • 朝、毎日満員電車に揺られて出社をする
  • 昨日の夜寝る時間が遅くなっても、睡眠時間が4h切ろうとも、無理やり起きて出社する

新人研修が終わり現場配属されると、人生が「仕事一色」に染まります。 それは想像よりずっときつい体験でした。 しかし、その強烈な負荷は、「自分の人生を真剣に考えるきっかけ」を強制的に与えてくれました。

  • このまま定年まで、この生活を40年続けるのか?
  • 「海外で働きたい」という夢は、いつ叶えるのか?
  • 今の年収カーブで、30代、40代、老後はどうなる?
  • もし明日会社が潰れたら、自分には何が残るのか?
  • そもそも、サラリーマンとして「お金を稼ぐ」とはどういうことか?

大学生の間も漠然とは考えていましたが、実際に自分の労働力をお金に変える経験をすると、思考の解像度が段違いになります。 この「人生の生存戦略」を、院卒組よりも2年早く、20代前半のうちに真剣に考え始められたこと。

これが、私にとっての学卒最大の財産です。

2. 強制的に「コンフォートゾーン」を抜け出せた

「人は環境が10割」とはよく言ったものです。 人間、意識しないと自然と自分にとって居心地の良い場所(コンフォートゾーン)から抜け出せなくなります。

大学時代の私もそうでした。自ずとぬるま湯に浸かっていました。 もしあのまま院進していたら、私は「モラトリアムの延長」として大学院を過ごし、 何の成長もしないまま2年歳をとっていた自信があります。

就職は、強制的に環境を変えるイベントです。 環境を変え、付き合う人を変え、時間の使い方を変える。 この荒療治が、私にとっては良い方向に働いたと思います。

逆に「院卒」がおすすめできる人

では、逆にどういう人が大学院に行くべきなのでしょうか。私の周囲を見ていて思うのは、以下のタイプです。

1. 研究そのものが心から好きな人

当たり前ですが、研究が好きでたまらない人は院に行くべきです。 SIerに入ると、アカデミックな探究よりも「納期」、「コスト」が優先されます。 「知りたい」という欲求を突き詰められるのは、大学院ならではの特権です。

2. 「専門職(R&D)」への就職が明確な人

大手メーカーの研究所や、AI・データサイエンスの特定職種など、「修士以上」が応募要件になっているポジションを目指すなら必須です。 SIerのSEやWebエンジニアであれば学歴はあまり関係ありませんが、どうしても就きたい職種があるなら募集要件を確認すべきです。

3. モラトリアムを「武器」に変える自律性がある人

これが一番重要かもしれません。 「働きたくないから院に行く」こと自体は悪くないと思います。 ただ、その+2年間の猶予を使って、留学する、起業に挑戦する、個人開発しまくる、長期インターンでスキルをつけるなど、能動的に動ける人なら、院進は最強のキャリア戦略になります。

実際に、自分の先輩たちの多くは、就活で成功したような人でしたが、 その多くが自主的にハッカソンに出る、大学外のイベントに参加する、大学外のコミュニティにも積極的に参加していました。

逆に私のように「誰かに管理されないとサボってしまう」タイプは、 院に行くとただ時間を溶かすだけになる危険性が高いです。

学生時代の疑問に答えていく(Q&A)

最後に、私が大学3年生の頃に抱いていた「学卒への不安」に対して、2年後の自分から回答します。

Q1. 院卒じゃないと良い会社に入れない?出世できない?

A. SIerやWeb業界なら、ほぼ関係ないです。 最初の配属や初任給には多少の差(月2万円程度)があるかもしれませんが、3年後、5年後には完全に「実力」と「実績」で評価されます。 「こいつ学卒だし、異動希望は通さないでおこう」なんてなることは、今の日本のIT業界では稀でしょう。むしろ2年早く実務経験を積んでいる分、スキル面では有利になることさえあります。

Q2. 理系なら院卒じゃないと勿体無い?

A. 今となっては「何が?」という感じです。 現場に出てしまえば、30歳、40歳になって「君は院卒?学卒?」なんて気にする人はいません。 「大学3年生で中退して高卒になる」というなら確かに大卒資格を捨てるのは勿体無いですが、「大卒」のカードさえあれば、日本の就活市場では十分戦えます。

Q3. モラトリアム期間を延ばすべきでは?

A. 「その時間を何に使うか」のビジョンがあるならYES。 今の私は、ブログを書いたり、YouTubeを始めたり、個人アプリ(人生のダッシュボード)を開発したりしています。 「もし今、大学生に戻って2年の自由時間をもらえたら、もっと凄いことができるのに!」と思うことはあります。

でも、そう思えるのは 「社会人を経験して、危機感を持ったから」なんですよね。 当時のダラダラしていた私が2年の時間をもらっても、きっと昼まで寝て、ゲームをして終わっていたでしょう。

だから、単純に「働きたくない」という気持ちだけでモラトリアムを延ばすのは、結果的に人生の時間を浪費することになるかもしれません。

Q4. 院卒の方が良い企業に新卒入社できるのでは?

A. 傾向としてはある。でも「逃げ」の選択なら地獄を見るだけ。

正直に申し上げると、私の大学の同期を見ていても、院卒の方がいわゆる「良い企業」に就職しやすい傾向は実際にあると思います。 これが単なる能力の差なのか、 それとも大学3年生と大学院1年生という「2年間の経験・年齢差」が面接で有利に働くのかは分かりませんが、事実は事実です。

ただ、これだけは言いたいのですが、「学卒で就活が上手くいかなかったから、とりあえず院進する」という思考は一番危険です。

学卒で納得のいく内定が取れなかったからといって、2年間という時間と安くない学費、そして辛い研究生活を捧げる覚悟はあるのでしょうか? 「学卒だから落とされたんだ…」と言い訳をして逃げ道を作ってしまうマインドセットだと、院に行っても結局同じ壁にぶつかります。

私の先輩に、学卒で大手企業の内定を持った状態で、あえてそれを辞退して院進した人がいました。 そういう「攻めの院進」なら大正解ですが、「就活が怖いからの院進」は、ただのモラトリアムの先延ばしに過ぎません。

結論、学卒には学卒の、院卒には院卒の戦い方があります。 「学卒でいく」と決めたなら、変な劣等感は捨てて、全力で納得内定を取りに行く。 その覚悟がない「中途半端」が一番最悪な結果を招くと私は思います。

まとめ:正解にするのは自分次第

私の会社の同期は、半分が院卒で、半分が学卒です。 以下は実際に聞いたことなんてありませんが、 院卒の人に学卒にするべきだったかと聞いて、そうだと答える人はいないし、 逆も正直いない感じがします。

人間は、自分の選択肢を間違いたくないと潜在的に思うらしいので、その結果なんじゃないかと思いますが。

また、私は振り返ってみて、この激動の2年間は非常に充実していたし、「自分にはこの道が合っていた」と胸を張って言えます。 同じ大学の院にそのまま進学していたら得られなかった経験、スキル、そして「自分の人生をどうにかしてやる」というハングリー精神を得ることができました。

勿論その分、最新のAIの同動には疎くなっています。私の最新のAI事情は、正直Xで得たものであり、研究室のチャットを今覗いても、正直いろいろ分からないことだらけになっています。 笑

もし今、迷っている人がいたら、「どっちが楽か」ではなく「どっちの環境なら、自分が腐らずに前に進めそうか」で選んでみてください。

私の生存戦略はまだ始まったばかりですが、学卒SIer社員として、泥臭くあがいていこうと思います。