SIerに入社して2年目になりました。
1年目は仕事を覚えるのに精一杯で、正直、技術的な成長を感じる余裕はありませんでした。
今年こそは!と気持ちを入れ直しているところです。

さて今回は、よく言われる「SIerにITスキルが要らない」という言葉について、実際にSIerで働く立場から考えてみようと思います。

SIerに入社するとき、ITスキルは本当に要らない?

結論から言うと、新卒時点では0でも大丈夫です。 もちろん、スキルがあるに越したことはありませんが、「スキルがないから落とされる」ことはまずありません。

日本の新卒採用はポテンシャル採用が基本なので、IT業界でも「これから伸びそうか」が見られます。 つまり、入社時点ではスキルよりも学ぶ姿勢のほうが重要です。

新卒就活時に専門スキルがいらないのは、SIer業界に限った話ではなく、日本の就活全体に言えることでもありますが

SIerでスキルがつく人・つかない人の違いとは?

入社後について言えば、部署や案件次第で天と地ほど差が出ます。 同じ会社でも、AWS構築ができるようになったり、 手を動かして障害の原因調査およびPGM改修ができるようになる人もいれば、 Excel資料更新とガチで進捗管理だけで1年が終わる人もいます。

また、どの部署に配属されても「自分で学ぶ姿勢」があればスキルは必ずつきます。
大手SIerに入って「全くスキルがつかなくてやばい」というのは、環境よりも自己研鑽を止めたことが原因の方が多い印象です。

SIerとは?簡単に言うとどんな会社?

SIer(エスアイヤー)とは「システムインテグレーター(System Integrator)」の略で、 企業や官公庁の依頼を受けて、システムの開発・運用をまとめる会社のことです。 自社でサービスを作るWeb系とは違い、「お客様の要望を形にする」のが仕事の中心です。

NTT データ、野村総合研究所(NRI)、オービック、NEC、日立製作所、電通総研などが有名どころでしょうか? 他にもいろいろありますが、SIerは売り上げが大きく大企業が多い業界なので、全てを挙げるとキリがないのでこれくらいで終わります。

SIerの仕事内容と「ITスキル不要」と言われる構造的な理由

SIerは、以下のようなフェーズを繰り返すことでビジネスを成り立たせています。

  1. 案件獲得
  2. 仕様書作成
  3. 設計書作成(概要設計/詳細設計)
  4. 製造
  5. テスト(単体・結合など)
  6. リリース

このうち、SIerがプレイヤーとして主に担当するのは①②⑥です。
③〜⑤の“実作業”は業務委託(外部会社)に依頼するのが一般的です。

ただし完全に任せきりではなく、

  • 設計書レビュー(内容の妥当性確認)
  • コードレビュー(簡易的な仕様確認)
  • テストケース及び結果レビュー

といった形で確認を行います。
また、レビューと言っても、実際のコードを細かく読むというよりは、 要件通りに動いているかをチェックする文書業務に近いです。

じゃあどこでシステムの品質確保をするのかというと、技術的なレビュー自体も業務委託する!と言うのが答えになります 笑

私もこれを知った時は驚きました、、、開発だけではなく、そのレビューまで委託するとは、、、 SIer恐るべしです。

「技術が分からなくてもできる」構造的理由

SIerの主業務はプロジェクト管理と調整です。
つまり、「作る」より「PJ動かす」ことがメインの仕事になります。

お客様からの要望をヒアリングし、ベンダーに伝え、納期・品質・コストをコントロールする。

この構造ゆえに、開発経験がなくても業務が成立します。
だからこそ、「ITスキルが要らない」と言われがちなのです。

技術知識は不要?それとも必要?

「仕様書を書くとき、技術が分かっていないと無理なのでは?」という疑問もあると思います。
これはその通りで、“技術を理解していると仕事が圧倒的にスムーズになる”のも事実です。

たとえば「このページにGoogle Mapを埋め込めますか?」と聞かれたとき、
自分で判断できれば調整が早いですが、分からない場合は外部の技術者に検証依頼を出すしかありません。

つまり、技術的な理解は必須ではないが、あれば確実に差がつく領域です。

SIerが「馬鹿にされる」理由と、そこにある誤解

Web系エンジニアやスタートアップの人から見ると、
「SIerは何も作れない」「調整だけで中身がない」と見えることがあります。

正直、それは半分正しく、半分間違いです。
確かにSIerは自分でコードを書く機会が少ないですが、
その分、数十社・数百人規模のプロジェクトを回すマネジメント力を持っています。

これは、Web系企業に就活したり、ベンチャーや個人開発では伸ばすことができないスキルです。

まあ私は炎上PJの中にいる身ですので、PJを回せているのか、と言う点は怪しくもあります😭 まあ、PJマネジメントを経験していると言うのは事実なので、その力もつきつつあるのは間違いないです。

これからのSIerに求められるもの

AIが進化する中で、「調整だけできる人」はいずれ淘汰されると思います。
今後は、技術を理解しつつマネジメントできる“ハイブリッド人材”が強くなるはずです。

実際、ChatGPTやCopilotを使えるだけで、提案資料や要件定義の精度は格段に上がります。
だからこそ、SIerにいる今こそ、技術リテラシーを磨くチャンスなのだと思います。

まとめ

SIerの仕事は、言ってしまえば「自社サービスを持たないIT企業の最終形」かもしれません。
そのため「ITスキルが要らない」と言われがちですが、実際には“スキルの種類が違う”だけだと思います。

Web系のように自分でコードを書くスキルではなく、

  • 要件を正確に言語化する力
  • 他社や顧客と調整して物事を動かす力
  • システム全体を理解して品質を担保する力

こうした「プロジェクトを動かすスキル」こそがSIerの専門性です。

ただし、AIやノーコードの進化で調整業務が自動化されつつある今、
技術を理解している人ほど、より本質的な価値を発揮できる時代に変わっていると思います。

つまり、「SIerにスキルが要らない」というのは誤解です。
正確には、“コードを書かなくても成立する仕組み”があるだけで、
“理解しないままでは生き残れない”のがこれからのSIerだと思います。

以上、ありがとうございました!