SIerで働いていると、結局ほとんどの作業がExcelに集約されます。
設計書もWBSも管理表も、とりあえずExcel。
だからこそ、大学時代とかでPythonでデータ整理をしてきた若手が、
「Pythonのほうが良くない?」と思うのは自然です。
ただ、その疑問に対して結論を言うと、 SIerでの日常業務の大半は、Excelで十分です。 というより、Excelでやった方が速いし、通りがいい。
もちろんPythonが活躍する場面もありますが、それは“例外”に近いです。 この記事では、SIerの現場でExcelとPythonをどう使い分けるべきかを、現役SEの視点でまとめます。
🎯 結論:普段はExcel。Excelが悲鳴を上げたらPython。
SIerでは、殆どの資料がExcel前提で作られています。
つまり、Excelで処理できるならExcelでやった方が圧倒的にスムーズです。
- 他の資料と突き合わせやすい
- 共有しやすい
- レビューも通る
- チーム全員が扱える
この4つが揃う時点で、現場ではExcelが“標準装備”です。
一方で、Pythonは“大量データ”に強い。 ただし、それはExcelが苦しくなってから考えれば十分です。
🗂 ExcelがSIerにフィットする理由
Excelは、SIerの現場ととにかく相性がいい。
別の管理表・一覧を参照したり、フィルタで条件を変えながら確認したり、
上司に説明するために整えたり──
こういう作業はExcelのほうが圧倒的に速い。
そして大事なのはここ。
SIerにPythonを使えない人はいても、Excelを使えない人はいない。
SIerでExcelを使うのは、日本で日本語を使うのと同じです。
ExcelでできることをPythonでやるのは、例えるなら「日本人しかいない環境で英語を話す」ようなものです。
意味は通るけど、別にそうしなくてもいい。
🤖 Pythonが力を発揮する場面
Pythonの強みは明確です。
使うタイミングも分かりやすい。
- データ量が多い(5万行以上)
- 毎週同じ作業を繰り返す
- ルールが明確で機械的な処理
- 複数のファイルを一気に扱う
こうした場面はExcelの苦手領域です。
Pythonは速度・再現性・正確さの3つが揃っているので、一度書けばずっと使えます。
ただし、SIerでは“Pythonコードのレビュー文化”が薄いため、成果物として提出しづらいという問題もあります。 この文化的ハードルは意外と大きい。
その結果、Pythonは“個人で完結する作業”でしか使いづらい。 そしてSIerに、個人で完結する仕事はほとんどない。 だからPythonを使う機会が自然と減っていきます。
📌 現場でよくある「どっち?」の典型例
巨大CSVの分析
まず前提として、SIerの1次受が巨大CSVを直接触る場面はそこまで多くありません。
こういう“生データの整理”は、BP(2次受)に渡すケースがほとんどです。
ただ、もし自分で扱うのであればPython一択です。
Excelは開くだけで固まり、フィルタを触った瞬間に落ちます。
5万行を超えたらExcelは限界と思った方がいいです。
既存管理表の突合
こういった「他資料との連携」が必要な作業は、迷う必要なくExcelです。
理由は単純で、“相手がExcelだから”。
突合条件を変えながら状況を確認したり、レビュー用に整えたりする作業は、Excelの操作感が最も早いです。
Pythonでやると正確ですが、説明コストが一気に上がります。
毎週の定例作業
処理量が多い・時間がかかる・作業手順が明確。
この3つが揃うならPythonで自動化したほうが精神的に楽です。
逆に、5分で終わるような小さな作業ならExcelで十分。
Python化するための準備コストのほうが高くつきます。
現場では“何回繰り返すか”が一番大事な判断材料です。
上司への説明が必要な資料
Pythonで計算しても、最終的にはExcelで整えて提出します。
つまり、レビューの形がExcelになるなら、作り始めもExcelが無難 です。
「Pythonで作ってExcelに貼る」のは悪くないですが、
Python部分が説明できないと逆に突っ込まれます。
Excelでマクロを組めばPython要らなくない?とはならない
「マクロでできるならPythonはいらないのでは?」と思う人もいるかもしれません。
ですが、結論から言うとマクロはPythonの代用にはなりません。
一番の理由は、マクロを実行している間、Excelが完全に止まることです。
SEの仕事の9割はExcelなので、作業中にExcelが使えないのは致命的です。
Pythonはバックグラウンドで静かに処理してくれますが、
マクロは画面を占有してしまう。
この点だけでも、両者はまったく別物です。
📝 まとめ:Excelは主戦場、Pythonは“切り札”
SIerで働くなら、まずExcelが扱えれば仕事は回ります。
ただし、Excelが苦しみ始めた瞬間だけは、Pythonのほうが圧倒的に速い。
つまり、普段はExcel。限界だけPython。
この使い分けさえできれば十分です。
生成AIでPythonが身近になった今だからこそ、
「どこでPythonを出すか」を判断できる人の価値は上がっています。
あなたの現場でも、ぜひこの基準を持って使い分けてみてください。



