休日個人開発者のいずくです。 今日は、個人開発で年商4億稼ぐPieter Levelsを取り上げて、 個人開発でマネタイズする人やその特徴について掘り下げて考えてみたいと思います。

1. Pieter Levels(ピーター・レベルズ)とは何者か?

彼は「Indie Hacker(インディーハッカー)」と呼ばれる個人開発界の絶対的カリスマですが、その正体は 「エンジニア出身ではない、異色の起業家」です。

  • 本名: Pieter Levels (levels.io)
  • 年齢: 39歳(1986年5月生まれ / 2026年時点)
  • 出身: オランダ
  • 最終学歴: ロッテルダム経営大学院 (MBA取得)
  • 現在のステータス: * 推定年商: 約300万ドル(約4.5億円)以上
  • 組織形態: 社員ゼロ。完全な個人企業(Solopreneur)。

異色の経歴:音楽プロデューサーから「コードを書く商売人」へ

彼が他の天才プログラマーと決定的に違うのは、そのキャリアの出発点です。

  1. 元々はYouTuber兼DJだった 大学時代、彼はプログラミングではなく、電子音楽(ドラムンベース)のYouTubeチャンネル「Panda Mix Show」を運営していました。ここで「どうすればネットでコンテンツがバズるか」というマーケティングの肌感覚を叩き込みました。しかし、音楽では大きな収益を上げられず、限界を感じます。
  2. MBA(経営学修士)を持ち、独学でコードを習得 彼は情報工学の学位を持っていません。ビジネススクールで経営を学び、必要に迫られてコードを独学しました。 そのため、彼のコードは「美しい設計」のためではなく、「ビジネスを成立させるための手段」として書かれています。
  3. 2013年(26歳)、彼は人生に行き詰まりを感じ、オランダの実家を出てバックパック一つでアジアへ向かう片道切符を買いました。 所持金が尽きる前に何かを当てなければならない。その極限状態の中で生まれたのが、伝説の企画「12 Startups in 12 Months(12ヶ月で12個のスタートアップを作る)」でした。

つまり彼は、技術オタクが趣味で開発を始めたのではなく、「生き残るために、商売の道具としてプログラミングを選んだ男」なのです。

2. 2014年の「狂気」:12ヶ月で12個作るということ

彼を語る上で欠かせないのが、2014年の伝説的なプロジェクト「12 Startups in 12 Months」です。 文字通り「1ヶ月に1個のWebサービスを開発・リリースし続ける」という企画ですが、その難易度は2026年の現在とは比較になりません。

2.1 "素手"で戦った時代

2014年当時、エンジニアを取り巻く環境は今と全く違いました。

  • AI不在: ChatGPTもGitHub Copilotも存在しません。コードは一文字ずつ、すべて手打ちです。エラーが出ればStack Overflowを何時間も彷徨うしかありませんでした。
  • インフラの未整備: VercelやSupabaseのように「コマンド一発でデプロイ完了」なんて魔法はありません。VPS(仮想サーバー)を借り、Linuxコマンドを叩き、ApacheやNginxの設定ファイルを書き、データベースを構築する……。「Hello World」を表示させるだけで数日かかるのが当たり前の時代です。

今の私たちがAIとモダンなツールを使って開発するスピード感に換算すれば、「3日に1個、完全に動作するアプリをリリースし続ける」くらいの狂気的な密度だったはずです。

2.2 「クソアプリ」を量産する勇気

なぜ彼はそんな無謀なことをしたのか? それは彼が 「完璧主義という病」にかかっていたからです。

「最高のアイデアを思いつくまで動けない」. 「コードが汚いまま公開したくない」

そんなプライドが、彼の成功を邪魔していました。 だから彼は自分に「質は無視する。とにかく毎月1つ出して、市場に問う」というルールを課したのです。

2.3 結果:大半は失敗、しかし1つだけ……

この実験の結果は残酷で、そして希望に満ちたものでした。 作ったサービスのほとんど(GIF画像共有サイトやYouTubeのプレイリスト共有など)は、全く収益化できずに失敗しました。

しかし、その中の一つ、単なるGoogleスプレッドシートのデータをWeb化しただけの 「Nomad List」が爆発的にヒットしました。

彼はこの経験から、エンジニアにとって最も重要な真理を学びました。 「どれが当たるかは、出してみるまで誰にもわからない(自分にもわからない)。だから、打席に立ち続けるしかない」

3. 私の考える彼の凄さ:99%と100%の決定的な違い

Pieter Levelsの経歴をなぞると、よくある「天才のサクセスストーリー」に見えました。 しかし、私なりに彼の行動を因数分解すると、彼が持っていて、私(そして多くのエンジニア)が持っていない決定的な能力が見えてきました。

それは、「完遂力(やり切る力)」です。

3.1 「損切り」という名の言い訳

「継続は力なり」と言いますが、ただダラダラとコードを書き続けることと、一つのプロダクトを市場に出すことの間には、天と地ほどの差があります。

Pieter Levelsの凄さは、「作り始めたものを、必ずリリースの形まで持っていく」点にあります。

正直に告白すると、私自身、作り始めたものの、途中で完成できずに終わった記事やアプリの残骸がPCの中に山ほどあります。 その時、私は「このアイデアは微妙だったから、損切り(見切り)をしたんだ」と思っている節がありました。

しかし、彼の「12ヶ月で12個」という実績を見た後だと、私のそれは賢明な「損切り」ではなく、単に完成させる苦しみからの 「逃げ」でしかなかったのだと振り返ります。

3.2 「試行錯誤」は、やり切った後にしか始まらない

なぜ「やり切る(完遂する)」ことが重要なのか。 それは、中途半端な未完成品からは、何のデータも得られないからです。

  • 99%まで作ったアプリ(未公開)= 価値ゼロ。フィードバックゼロ。
  • 10点の出来栄えでも公開したアプリ = 「使われない」という貴重なデータが得られる。

Pieter Levelsが成功したのは、彼が天才的なアイデアマンだったからではないと思います。 クソアプリでも何でも、とにかく作りきって「100%(公開)」まで持っていき、 市場からの「No」というフィードバック(試行錯誤)を誰よりも多く浴びたからだと思います。

彼から学ぶべき最大の生存戦略は、技術やマーケティング以前の、この 「何が何でもリリースボタンを押す」という精神的なタフネスにあるのだと思います。

4. なぜ私たちは「完遂」できないのか?(未完成のメカニズム)

Pieter Levelsの成功に「完遂力」があるのではないか?という話を今までにしてきました。 では、次に、なぜ私たちは技術力もあり、やる気もあるのに、PCの中に「作りかけの墓場」を築いてしまうのかについて分析します。

4.1 コードはもう読まなくていい

数年前まで、エンジニアにとってコードは「自分で書き、自分で読むもの」でした。 しかし、AI時代の個人開発において、その常識は捨てるべきだというのが私の考えです。

もちろん、自身にかなりの実装力のあるエンジニアは読んでもいいと思いますが、 それがない人の場合、今からコードを読む力をつけるのではなく、「AIが出したコードを使いこなす」 というマインドに完全に切り替えるべきです。 大事なのは、実装内容を理解していることではなく、ユーザに価値を提供できるかどうかです。

転職用ポートフォリオと混ぜるな

コードをきれいに書こう、読もうとする人の心理には、「このアプリを転職時のポートフォリオとして使いたい」という下心が見え隠れします。 しかし、これは非常に危険な考え方です。

「最悪、稼げなくてもポートフォリオになればいいや」 そう思った瞬間、あなたの目的は「ユーザーのための価値提供」から「採用担当者のためのきれいな設計」にすり替わります。 その「保険」こそが、完遂への必死さを奪い、妥協を生む最大の原因だと思います。

4.2 まずはアイデアの「選別」から行うこと

個人開発始めたての場合、アイデアを一つ思いついた後に、すぐに実装して、やっぱり違う、、、みたいになることが多いと思います。 で、それでもそれを作り切るべきか、というとそんなことはないです。

そういうことが言いたいのではなく、まず作り始める前にアイデアを厳選するべきなのです。 もちろん、始めたての場合、アイデアなんてそう簡単に思いつかないと思うかもしれません。 しかし、やり始めるとそうではないことに気づくはずです。

意外と、アイデアは毎日何個も出てくるものなのです。 アイデアというのは「石ころ」のようなもので、磨くまでそれがただの石か宝石なのか分からないというのがポイントです。 頭の中やメモ書きで、出てきたアイデアを磨いたのち、それでも光り続けたものだけを実装するべきなのだと思います。

4.3 MVP(コア価値)を忘れないこと

磨いたのちに実装されたものを見て、正直あなたはそのアプリを「微妙だ」と思う瞬間があると思います。 そういうものです。 ですが、それはデザインや付加機能といった「枝葉」を見ているだけで、「最初に思いついたアイデアはそもそも何を提供して、何を解決するためのアプリだったのか?」

そこさえずれていなければ、アプリはすでに完成しているはずなんです。 (※ここでの核となる価値を MVP: Minimum Viable Product と呼びます)

それを忘れず、必要機能が作れたら、まずリリースする。というのが大切なのだと思います。

まとめ

Xで個人開発系のインフルエンサーの投稿も面白いのですが、 こうやってガチで個人開発でお金を稼げている人について考えてみるのも面白いと思います。

ありがとうございました。